みんな「SEO対策」と言うけど、本当に必要なことは?

昨今、医療機関の集患においてホームページの重要性が理解されている方が多いと思います。しかし、実際には「どうやってホームページを活用すれば良いのか」「検索順位を上げるためには何をすれば良いのか」といった疑問や不明点を多くいただいています。

その中でも「SEO対策」という言葉はよく目にしますし、SEO対策をしないと効果がないと感じる方も多いのではないでしょうか。そこで、SEO対策について、「みんなが言う『SEO対策』って本当に必要なことは何なのか?」というテーマで解説したいと思います。

SEO対策とは?

まず、SEOとは「Search Engine Optimization」の略称で、日本語にすると「検索エンジン最適化」となります。

「検索エンジン最適化」とは、WEBサイト(クリニックのホームページ)を、Googleなどの検索エンジンに理解されやすいように最適化することです。

具体的な基本対策は、検索キーワードの選定内部リンクの設計タグのルールコンテンツの内容ユーザビリティページスピードなどがあります。

あくまで基本対策ですので、通常のWEBサイト制作会社であれば対応をしていると考えて良いかと思います。

さて、それでは、それ以上の「SEO対策」とは何でしょうか。

SEO対策の考え方

まず、弊社へのホームページ制作をご依頼いただく先生方には、必ず目的や理由をお聞きします。

例えば、「リウマチ患者さんを増やしたい」「NIPTの検査の患者さんを増やしたい」「心療内科・カウンセリングの患者さんを増やしたい」といった具体的な目標をお持ちの方がいます。

クリニックのホームページ作成時には、そのホームページで何をしたいのか、何を目的・目標とするのかをお互いにイメージします。そして、この目標を達成するために必要な対策は何かを考えます。その一つが「SEO対策」となります。

しかし、この軸がぶれると、「検索上位に挙がってきたのに患者さんが増えない」といった状況になり、SEO対策が目的となってしまい、本来の目的・目標を達成することができなくなってしまいます。

Googleが何を考えているのか

次に、Googleが何を考えて検索の上位に持ってくるのかを考えてみましょう。

Googleが公表している「Googleの使命」の中では、「最も関連性と信頼性の高い情報を(ユーザーに)お届けします」と検索に対する方針を表明しています。

上記を先ほどの「リウマチ患者さんを増やしたい」という目的に合わせて、かみ砕いてみましょう。

「最も関連性と信頼性の高い情報を(ユーザーに)お届けします」

=「地域で一番、リウマチの診断・治療に関する信頼性の高いホームページを、患者さんが検索した際に上位に持っていきます」となります。

つまり、診療内容や病気への知見を他院に比べてしっかり患者さんに伝えていき、基本的な対策を行っていれば、検索上位に上がってくるということになります。

YMYLとE-E-A-Tについて

Googleの検索品質評価に関するガイドラインや基準には、YMYLやE-A-Tがあります。

YMYLについて

YMYLとは、Your Money or Your Lifeの頭文字を取った略称で、お金や健康などのジャンルを示すGoogleの検索品質評価ガイドラインに登場する言葉です。

直訳すると「あなたのお金、あなたの生活」という意味になりますが、「人生において意思決定の重要な局面で影響を与えるテーマやトピックを扱うWEBサイト」のことを指します。

YMYLのジャンルには、1)ニュース・時事問題、2)市民の権利・政府・法律、3)金融情報、4)ショッピング、5)健康・安全、6)人々のグループ、7)その他があります。医療については、5)の健康・安全に当てはまりますが、例えば、ある病気の治療がエビデンスに沿っていなかったり、治療内容が異なっていたり、最悪の場合、生死に関わる問題にまで発展してしまった場合、それは患者さんに有益な情報になりません。

そのため、重要な専門的知見を要する情報は、Googleの検索品質ガイドラインの中で「YMYL」として位置づけられ、コンテンツの品質はより正確性と信頼性が担保されるよう厳格に扱われます。

専門的知見が必要な医療の情報を取り扱っている医療機関のホームページが、誤った情報を発信した場合(誤った情報を発信しているとみなされた場合)、検索順位が下がります。逆に、患者さんにとって有益な情報が発信されていれば、自然に上位に挙がってくるという仕組みということです。

E-E-A-Tについて

E-E-A-Tとは以下4つの言葉の頭文字をとったもので、Googleの「検索品質評価ガイドライン」に示された、Webサイトの品質を評価するために用いる基準です。

E:Experience(経験)

E:Expertise(専門性)

A:Authoritativeness(権威性)

T:Trustworthiness(信頼性)

E-E-A-Tを網羅しコンテンツの品質を高めることは、SEO対策としても重要な要素です。

図引用:https://static.googleusercontent.com/media/guidelines.raterhub.com/ja//searchqualityevaluatorguidelines.pdf#page=26

 

これまで、Google検索品質評価ガイドラインに定められていたのは、専門性・権威性・信頼性を示す「E-A-T」でした。しかし、2022年のガイドライン更新によって「Experience(経験)」が加わり、「E-E-A-T」となっています。

さて、このE-E-A-Tを先ほどの「リウマチ患者さんを増やしたい」という目的に合わせて、かみ砕いてみましょう。

E:Experience(経験):診療実績や経験に基づく診断・治療

E:Expertise(専門性):リウマチ診療の専門性、論文など

A:Authoritativeness(権威性):研修医<一般医師<リウマチ専門医<教授

T:Trustworthiness(信頼性):上記のE(経験)E(専門性)A(権威性)によって成り立つ

このように、専門医が経験やエビデンスに基づく診断・治療を行っている内容をコンテンツや記事にすることで、ホームページの価値が高いと判断されます。

流れとしては、

E-E-A-Tに準じてコンテンツを作成する ➡  ユーザー(患者さん)が利益を得られると判断される ➡ ホームページの価値が上がる ➡ 検索上位に来る ➡ 患者さんへ情報を届けることができる ➡ 閲覧数が上がる ➡ (医療機関へ患者さんが来院) ➡ (専門的で良い診療を受けられる) ➡ (良い口コミが入る) ➡ ユーザー(患者さん)が利益を得られると判断される

という正のループが理想的な流れとなります。

このように、SEO対策とは、より患者さんの利益を考えてホームページを作成することで得られるギフトと考えていただければと思います。

おまけ

Googleにとって、SEO業者は敵とされます。意味はお判りになりますでしょうか?

Googleは自ら検索順位を決めたいと考えています。そのため、その順位を人為的に変えようとするSEO対策の業者は敵となります。人為的に無理やり順位を変えようとする行為が出来ないように、常に進化しています。

SEO対策はその行為を目的とするのではなく、ユーザー(医療では患者さん)により有益な情報・コンテンツを発信することで得られるものとなります。ですので、一足飛びの対策は一時的なものとお考えいただければと思います。SEO業者さんの甘い言葉につられないよう、ご注意ください。


 

■著者

株式会社DEPOC 代表取締役 安岡俊雅 氏

医療業界のWEBサイト作成にかかわり18年目に入る。

現在は、Webサイト作成に限らず、大学病院の医局や学会運営、一般病院、クリニックまで幅広く支援。

WEBサイト:https://www.depoc-medical.jp/

(執筆著書)

  • 「医療機関のブランディング~求人・集患の秘訣~」
  • 「医師のキャリア革命~成功の鍵はお金か知的好奇心か」