
2025.01.23
クリニックで活用できるAIは何がある?導入のメリットや注意点も解説!
「クリニックで活用できるAIにはどんなものがある?」
「クリニックでAIを使用したらどんなメリットがあるの?」
近年はAIの注目度が急速に高まっており、クリニック運営に携わっている医師のなかには、このような疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、クリニックで活用できるAIの種類や、使用する際のメリット・注意点について詳しく解説します。効果的にAIを使用して、クリニック運営をより良いものにしましょう。
クリニックで活用できる6つのAI
AIはさまざまな用途で使用できますが、クリニックで効果を発揮するAIには次のようなものがあります。
- AIによる書類作成
- 画像診断の支援
- 電子カルテ記載の音声入力と要約
- レセプトチェック
- ホームページにチャットボットの設置
- クリニックコラムの作成
それぞれどのような使い方ができるのか、詳しく見ていきましょう。
1.AIによる書類作成
AIを活用して、電子カルテの記載をはじめとした情報をもとに書類作成ができます。これまでは、医師が白紙ベースから書類を作成していましたが、AIが代行してくれるため、書類作成にかけていた時間を大幅に短縮可能です。
具体的に、AIで作成できる書類には以下の例があります。
- 診療情報提供書(紹介状)
- 診断書
- 症状詳記 など
医師が作成しなければならない書類は多数あります。しかし、AIに作成してもらったうえで医師が内容をチェックする運用形態にすることで、効率的な書類業務が遂行できるでしょう。
2.画像診断の支援
クリニックで活用できるAIのひとつに、画像診断支援ツールがあります。レントゲンやMRIといった画像をAIが解析し、医師の診断を支援するものです。画像診断支援は、厚生労働省による「AI研究開発を進めるべき重点6領域」にも指定されています。
導入すると、AIによるダブルチェックが可能になるため見落としリスクが低下したり、検出スピードの向上が見込めたりするといった利点があり、病気の早期発見・早期治療につながるでしょう。
3.電子カルテ記載の音声入力と要約
診療における業務の比重が大きい「電子カルテ記載」にもAIを活用できます。これまでは診断内容や患者さんとの会話を、医師がキーボードを用いてカルテに入力するのが一般的でした。
しかし、音声入力ツールを利用すると、医師と患者さんの会話からAIが自動的にカルテ形式の記載に要約してくれます。また、診療の効率化が実現するだけでなく、患者さんと向かい合って診察できるため、患者満足度の向上も期待できるでしょう。
音声入力の詳細やメリットなどは、以下の記事でも解説しておりますので、こちらもぜひご覧ください。
(電子カルテ記載に音声入力ツールを導入するとどうなる?メリットや精度について解説)
4.レセプトチェック
レセプト業務にAIを活用すると、担当者の業務負担軽減や正確性の向上が実現できます。なぜなら、処方薬や検査などに対する適用病名が不足している場合は候補を表示してくれたり、誤っている個所を指摘してくれたりするためです。
メーカーによって仕様は異なるものの、自院の点検済レセプトをAIにインプットさせることで、学習機能によってクリニックの特性を反映したレセプトチェックが可能になるものもあります。
レセプトチェックはクリニックの収入に直結する、とても重要な業務です。AIチェックによってレセプトの精度が向上し、算定もれや返戻・査定が減少すれば、クリニック経営の安定化にもつながるでしょう。
5.ホームページにAIチャットボットを設置する
クリニックのホームページにAIチャットボットを設置することで、スタッフと患者さんの双方に利益をもたらす可能性があります。AIチャットボットとは、テキストまたは音声による対話形式で、患者さんの問い合わせに自動解答するサービスです。
クリニックだけでなく、国税庁や企業などでも幅広く活用されています。クリニックのホームページ内に設置すると、患者さんはクリニックに直接問い合わせずとも疑問を解消可能です。一方で、電話による問い合わせ数の減少が見込まれるため、スタッフの業務効率化も期待できます。
ホームページでの自動解答機能だけでなく、接客用途も備わったAIチャットボットも存在するため、今後は受付対応なども含めて利用検討できるようになるでしょう。
6.クリニックコラム作成
集患対策のひとつとして、近年は医師によるコラムやSNS運用をしているクリニックも多く見られますが、それらの文章作成をAIに任せることができます。患者さんは、事前にインターネットでクリニックの情報を調べて受診するクリニックを決めるケースが多いです。そのため、コラムなどによるクリニックの情報発信が重要となります。AIへの指示の仕方によっては、「SEO対策(※)」を考慮した記事を作成することも可能です。
とはいえ、「通常の診療業務の合間にコンテンツを制作するのは大変」という医師も少なくありません。「集患対策を積極的に行いたいものの、なかなかコンテンツ制作の時間がとれない」という場合は、AIの力を借りてみると良いでしょう。
医療機関のSNS運用については、こちらの記事もぜひご覧ください。
医療機関(クリニック・病院)のSNS運用が上手くいかない理由と解決策
※SEO対策:Googleなどの検索エンジンで自分のサイトが上位表示されるための施策。検索時に上位に表示されると、多くの人に見られる可能性が高くなる。
クリニックでAIを活用するメリット
クリニックでAIを活用するメリットは以下のとおりです。
- 医師の業務効率化
- 精度の向上
- スタッフの負担軽減
具体的にどのような利点があるのか、順番に解説します。
医師の業務効率化
これまで医師が手作業で行っていた業務をAIにまかせられるようになるため、業務効率化が見込めます。診療に直接関係することだけでなく、コラムやSNS運用の文章作成といった集患対策などにも応用が可能です。
2024年4月より「医師の働き方改革」に関する新制度が施行されましたが、医師の長時間労働解消にも役立ちます。加えて、医師は「患者さんの診療」に集中できるのも大きなメリットといえるでしょう。
精度の向上
診療や各種業務にAIを活用することで、それらの精度を向上させられる可能性があります。AIは膨大な検査情報や診断データといった情報から、瞬時に分類・分析が可能です。画像診断などで支援ツールとして用いると、見落としをはじめとしたリスクを減少できるでしょう。また、AIはレセプトチェックにも使用可能です。人間の目だけで点検するよりも、正確なチェックができます。
診療や各種業務におけるヒューマンエラーはつきものです。AIの活用はミスを減らし、ひいてはクリニックの質の向上に寄与するでしょう。
スタッフの負担軽減
クリニックにおけるAI活用は、医師だけでなくスタッフの業務負担軽減にもつながります。AIを活用すれば、短時間かつ少ない人数で業務をこなせるためです。
レセプト業務をはじめとした事務作業のほか、医師の業務を減らすために書類作成を事務スタッフが代行しているクリニックも多々あります。AIを活用すれば、より少ない労力で業務遂行が可能です。
近年は労働人口減少や時代の変化もあり、スタッフの雇用も難しくなっています。今後はAIを導入し、少人数でもクリニック運営ができるような体制づくりを検討する必要があるでしょう。
クリニックでAIを活用する注意点
クリニックでAIを活用する場合は、以下の点に注意が必要です。
- AIの活用が法令等に違反していないかを確認する
- AIによって出力された内容が正しいかチェックする
医師法では、診断書や処方箋をはじめとした文書は医師が作成することが定められていま
す。生成AIで作成した文書を医師が確認・修正せずに交付するのは違反です。
また、AIによって出力されたカルテ記載や文書などの内容が、必ずしもすべて正しいとは限りません。ときには不正確な情報が含まれている可能性もあります。
AIは、正しく使用すればクリニックの運営を助けてくれる頼もしい存在です。しかし、診療やクリニックの業務にAIを使用する場合は、信用しすぎずあくまで「補助的なツール」としての利用を心がけましょう。
クリニックによって必要なAIは異なる
近年注目されているAIは、クリニック運営においてもさまざまな場面で効果的に使用できます。医師やスタッフの業務負担が軽減するだけでなく、診療の質向上にもつながるため、導入のメリットは大きいでしょう。
しかし、「AIツール」といっても仕様や内容はメーカーによって異なります。クリニックの状況や特性によって、最適なツールの選択が必要です。加えて、AI分野はまだまだ発展段階であり、日々目覚ましい進化を遂げているため「AIツールの活用に興味はあるものの、最新の情報を追うのが難しい」という場合もあるでしょう。
そんなお悩みを抱えている方は、目利き医ノ助にご相談ください。AIを活用したい分野やクリニックの状況を分析し、ぴったりのAIツールをご一緒に選定させていただきます。相談は無料となっておりますので、ぜひお気軽にお問合せください。