
2026.03.03
【ベースアップ評価料】クリニックは最大年間100万円差?令和8年改定と補助金まで徹底解説
物価や材料費の高騰により、クリニックの人件費のやりくりは年々難しくなっています。
最低賃金も上がり、給与を上げたくても資金の確保が難しいと感じているのではないでしょうか。令和6年改定時から、診療報酬でも措置が取られており「ベースアップ評価料」により、スタッフの給与の引き上げが求められています。
この制度は、外来数の多いクリニックでは年間100万円以上の差になる可能性があります。令和8年の改定では点数が大きく引き上げられ、クリニックにとって無視できない金額になるでしょう。
この記事では、制度や補助金、注意点までわかりやすく解説します。ベースアップ評価料について詳しく知りたいクリニックはぜひ参考にしてください。
>>【関連記事】診療報酬改定とは?2026年度の変更内容と注目ポイントも解説
ベースアップ評価料とは?クリニック向けにわかりやすく解説

ベースアップ評価料は、医師以外の職員の賃上げを行った医療機関に対して、診療報酬として収入を上乗せする仕組みです。
対象は、医師・歯科医師を除く看護師やコメディカル職員です。令和8年度からは事務職員も含まれる予定で、賃上げの範囲が広がります。
ここで注意が必要なのは、毎年の定期昇給は対象にならないという点です。通常の昇給とは別に「ベースアップ」として毎月固定で給与を引き上げる必要があります。一時的なボーナスや一回限りの手当では認められません。
引き上げ方としては、基本給を上げる方法と、毎月固定で支払う手当を新たに設ける方法があります。どちらを選ぶかはクリニックの方針によりますが、毎月継続して支払うことが前提になります。
また、この評価料を算定するためには届出が必要です。ただし、届出を出せば終わりではありません。1年間きちんと計画通りに運用することが求められます。この部分を誤解すると後から返還対象になる可能性があります。
ベースアップ評価料でいくら増収になる?令和8年改定における変更点
令和8年度改定で、ベースアップ評価料の点数は細分化され、段階的に点数が増加される予定です。
ベースアップ評価料の変更点数
【新規に賃上げを行う保険医療機関】
|
現状 |
ベースアップ評価料Ⅰ 26年6〜27年5月 |
ベースアップ評価料Ⅰ 27年6月~ |
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初診 |
6点 |
17点 |
34点 |
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再診 |
2点 |
4点 |
8点 |
【継続して賃上げを行う保険医療機関】
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現状 |
ベースアップ評価料Ⅰ 26年6〜27年5月 |
ベースアップ評価料Ⅰ 27年6月~ |
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初診 |
6点 |
23点 |
40点 |
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再診 |
2点 |
6点 |
10点 |
現在の点数は、初診が6点、再診が2点です。1点10円のため、決して大きな金額とは言えません。
しかし、令和8年の改定では大きく変わります。初診は17点、継続して賃上げを行う場合は23点になります。再診は4点、継続賃上げで6点になります。つまり、外来数の多いクリニックでは、毎月の収入が数万円単位で増える規模になります。
申請のタイミングが重要
改定後の高い点数を算定するには、2026年2月中の届出が必要になる見込みです。この期限を過ぎると、その年度は低い点数のままになります。3月以降でも届出自体は可能ですが、次の年度まで点数は上がらないため注意が必要です。
たとえば、1日60人が来院し、月20日診療しているクリニックを想定します。初診が20人、再診が40人とすると、現行では月におよそ4万円程度です。
改定後は月に約10万円前後になります。年間では120万円程度です。来院数が多いクリニックではさらに差が広がります。規模によっては、年間100万円以上の差になることも十分に考えられるでしょう。
クリニックでのベースアップ評価料と補助金の関係
ベースアップ評価料は診療報酬だけの話ではなく、補助金をもらえる可能性があります。
令和7年度では、以下のふたつの補助金が国から支援されます。
- 診療所等賃上げ支援事業:無床クリニックで1施設15万円
- 診療所等物価支援事業:無床クリニックで1施設17万円
令和8年3月1日時点でベースアップ評価料を届け出ている必要があり、有床クリニックでは病床数に応じて支援が出ます。つまり、ベースアップ評価料を届け出ないと補助金の対象にならない可能性があるということです。
令和8年2月時点ではまだ発表はないですが、今後は、診療報酬の増収と補助金が重なる可能性があります。知らないまま手続きをしないと、そのまま取りこぼしてしまうため注意が必要です。
【参考元】令和7年度 医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について|厚生労働省
届出は簡単でも運用が難しい理由

届出の書類自体は、そこまで難しいものではありません。以下の書類を準備する必要があります。
- 届出書添付書類(別添シート)
- 賃金改善計画書
- 届出書(特掲診療料の施設基準)
万が一、書類に不備があると申請が却下されてしまいます。提出前に可能な限りダブルチェックを行いましょう。
しかし、本当に大切なのはその後で、以下のことをおこなう必要があります。
- 1年間計画通りに給与を支払い続ける
- 対象職員を整理する
- 固定手当の設計を明確にする
- 支払い実績を記録として残す
もし監査が入った際に説明できないと、返還になる可能性もあるでしょう。届出を「出せば終わり」ではなく、「正しく設計し、正しく運用する」ことが重要です。
ベースアップ評価料は単なる“制度”ではない
ベースアップ評価料により給与を見直すきっかけになり、採用対策にもつながります。スタッフが安心して働ける環境づくりにもなります。
これまで曖昧だった給与体系を整理する機会にもなりますし、人件費と収益のバランスを見直すタイミングにもなります。今後は、スタッフのことを考えた、賃上げに対応できるクリニックが選ばれる時代となるでしょう。
まとめ
物価が上がり、クリニックではスタッフの給料を上げたくてもお金の余裕がない、という状況が増えています。
そこで作られたのが「ベースアップ評価料」です。医師以外のスタッフの給料を毎月上げると、その分を診療報酬で補ってもらえる仕組みです。
令和8年の改定では金額が大きく増え、年間で100万円以上の差が出る可能性もあります。届出を出す時期を逃すと損をすることや、記録を残しながら運用する必要がある点には注意が必要です。
システム面での不安、ベースアップ評価料に対応できるか不安な場合は、目利き医之助へご相談ください。クリニックに合わせたシステムをご提案させていただきます。

