
2026.01.21
後払い会計をスムーズに進めるには?クリニック運用と考え方
クリニックで診察が終わったあと、長い時間会計を待つことに不満を感じる人がいます。
厚生労働省の令和5年受療行動調査によると、会計の待ち時間が長いことに不満を感じる人は全体の約25.5%いることがわかります。
そこで注目されているのが「医療費の後払い会計」です。これは、診察後にその場でお金を払わずに帰って、あとで支払いをする仕組みです。
しかし、窓口で支払わない仕組みにすると、一見便利なようでも実は別の仕事が増えてしまうことがあります。
そこでこの記事では、後払い会計を現場でうまく回すためのポイントと、RPA(ロボットでパソコンの仕事を自動化する仕組み)を使った活用方法についてわかりやすく解説していきます。
会計の待ち時間が長くて悩んでいるクリニックは、ぜひ参考にしてください。
後払い会計とは?基本と仕組みを解説

後払い会計は、たとえばこんな流れになります。
- 患者さんが診察を受ける
- 会計はせずにそのまま帰る
- 後日クレジットカードなどで支払いが行われる
これにより、患者さんは待ち時間を減らせるため、患者満足度の向上につながります。診察が終了したら、病院をすぐ出られるのがポイントです。待たずに帰れるので、スマート会計と呼ぶこともあります。
患者さんにとって、とても便利な仕組みなだけでなく、病院の受付が混み合う時間が減るので、院内の雰囲気も良くなります。しかし、病院やクリニックのスタッフにとっては、すぐに会計を出す必要がなくなったといっても会計は出す必要があります。
また、支払いが行われているか確認したり、領収書を作ったりする必要があります。そのため、スタッフの負担を減らすために導入した仕組みのはずが、実はスタッフの手間が増える場合もあるのです。
後払い会計は「後の工程」が課題

後払い会計の仕組みにすると、以下のような仕事が増えてしまいます。
- 支払われたお金の確認(入金消込)
- 領収書や明細書の発行
- 支払いに問題があった場合の対応(例外対応)
- 何か間違いがあったときの修正
とくに、病院で使うパソコンのシステム(レセコンや医事会計ソフト)と連動していない場合、スタッフが手で入力したり確認したりしなければなりません。このような作業が多いと、スタッフの勤務時間が増えてしまいます。
また、手入力や目視による確認はミスが起きやすく、結果として別のトラブルにつながることもあるでしょう。たとえば、支払ったはずのお金がうまく記録されていなかったり、領収書の発行が遅れたりすることが考えられます。
後払い会計運用3つのパターンと現場の落とし穴
後払い会計には、大きく分けて3つの運用パターンがあります。それぞれメリットと注意点を見ていきましょう。
① 「完全オンライン決済」パターン
この方法では、患者さんが診察前にクレジットカードを登録します。
診察が終わると、自動で請求と支払いが行われるため、患者さんは診察後、会計窓口で待つ必要がなくなります。領収書も自動で送られる仕組みです。完全オンライン決済の場合、スタッフは会計の度に業務を中断する必要がなくなり、効率的に業務をおこなえるようになります。
注意点として、病院のパソコンシステムと連携する必要があり、初期コストが高くなる場合があります。また、カードを持っていない人や高齢者には使いにくい場合もあるため、患者層が若いクリニックでの利用がおすすめです。
② 「診察後・後日決済」パターン
患者さんは診察のあとそのまま帰り、あとで登録しているクレジットカードから支払われます。病院側は後から請求額を入力し、決済システムに送る流れです。これにより、会計窓口の混雑が減少するのがメリットです。
注意点として、支払われたお金の確認や例外処理が、病院側で残るため、一部の仕事はRPAで補うことで、スタッフの負担はさらに軽減するでしょう。
③ 「立替・請求代行型」パターン
この方法では、サービス会社がいったん支払いを立て替え、その後で患者さんに請求します。病院にはすぐ入金されるため、未払いの心配がありません。これにより、病院側で未収金の対応がなくなります。また、入金の遅れがなく、締め処理も簡単になります。
注意点として、サービスの対応範囲や条件が会社によって異なっています。また、医事システムとの連携が必要なケースもあるため導入を検討する際は気をつけましょう。
後払い会計をスムーズに運用するための方法

これまでの会計方法とは異なる「後払い会計」をおこなうためには、以下のような準備がおすすめです。
- 自院の環境に合った「手間の少ないサービス」を選ぶ
- RPA(業務自動化ツール)で「情報の橋渡し」を自動化する
- スムーズな運用のために「ルール決め」をおこなう
それぞれくわしく解説していきます。
自院の環境に合った「手間の少ないサービス」を選ぶ
後払い会計をうまく回すためには、まず「どのサービスを選ぶか」がとても大切です。特に、電子カルテやレセコンときちんと連携できるかどうかが重要なポイントになります。
連携させることで、手作業での転記や二重入力を避けられるため、スタッフの負担は大きく減ります。
また、領収書や明細書の自動発行機能があるサービスなら、書類の発行・管理の手間が楽になります。さらに、入金状況を自動でチェックしたり、月末の集計作業まで対応したりするものを選ぶことで、事務の締め処理もスムーズになるでしょう。
つまり、「どこまで自動でやってくれるか?」をしっかり比較して、自院の業務に合った手間が省けるサービスを選ぶことが、トラブルやストレスを減らす第一歩です。
RPA(業務自動化ツール)で「情報の橋渡し」を自動化する
便利な後払いサービスを導入しても、すべてが自動になるわけではありません。たとえば、「決済データをシステムに取り込む」「未払い患者をリストアップする」など、細かな作業は病院側で必要になるケースもあります。
ここで活躍するのがRPA(ロボットによる業務自動化ツール)です。RPAは、パソコンの定型作業を自動でこなしてくれる便利なツールです。
たとえば、決済サイトから入金情報をダウンロードし、それを医事会計ソフトに転記する作業や、未決済の患者を抽出してメールで通知する作業などが可能です。
RPAは、システムとシステムのすき間をつなぐ役割を担います。後払い会計の「後工程」を自動化することで、ミスを減らしながら、業務のスピードもアップできるでしょう。
スムーズな運用のために「ルール決め」をおこなう
サービスやRPAを導入するだけでは、うまくいかないこともあります。実際の運用で混乱しないためには、事前にルールをしっかり整えておくことが大切です。
たとえば、以下のような点をあらかじめ決めておくと安心です。
- 返金や修正が必要になったときの対応フロー
- 決済エラーが起きたときの対応フロー
- 領収書の発行タイミングや、再発行のルール(紙/電子など)
予め、これらのルールがきちんと決まっていないと、現場で迷いが生じたり、対応がバラバラになってしまうことがあります。RPAもルールがなければ正しく活用できないため、最初の段階での整理が重要です。
【まとめ】「窓口ゼロ」はゴールじゃない。業務全体の最適化こそ本質
後払い会計は、患者さんの利便性を高め、病院の受付の混雑を減らす力があります。
しかし、その裏側では新しい仕事や処理が発生することが課題でした。そこで、手間の少ないサービス選びと、RPAの活用により、後払い会計をスムーズに運用できるようになります。
後払い会計をうまく使いこなして、患者さんにもスタッフにもやさしいクリニックを目指しましょう。
後払い会計を導入するために、RPAも検討しているけど、何から始めればいいか困っているクリニックはぜひ目利き医ノ助にご相談ください。クリニックさんの悩みをうかがい、最適なシステムをご紹介させていただきます。ぜひ気軽にご相談ください。
