【応用編】セキュリティ・データ連携など最先端技術の医療DX用語集

AIを活用した画像診断支援、データ連携の国際標準規格、情報漏洩を防ぐためのセキュリティなど、医療DXで用いられる専門用語は幅広く、日々の診療の合間に理解することは難しいのが現実です。

そのため、以下のように感じるクリニックの院長や事務長は多いのではないでしょうか?

本記事では、「診療の質向上」や「クリニックのデジタル化推進」に直結する応用的な用語を3つのジャンルにわけてわかりやすく解説します。

医療DXの国の制度やシステム関連の用語は以下の記事で解説しています!より理解を深めたい方はあわせてチェックしてみてください。

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診察の精度を高める「最先端技術」の用語一覧

AIによる画像診断支援、デバイスによる生体情報の計測など、診察・治療現場のレベルを高め、医療の質と効率を向上させる最先端技術に関する用語をまとめています。

用語 内容
ウェアラブルデバイス 腕時計型などを身につけて生体情報を計測する機器のこと。
モバイルヘルス(mHealth) スマートフォンやタブレットを活用した健康管理や診察サポートのこと。
生体情報モニタリング 心拍、血圧、血糖値などのバイタルデータを継続的に測定・監視すること。
医療機器プログラム 疾病の診断・治療などに用いられるソフトウェアのこと。
SaMD(サムド) 「Software as a Medical Device」の略。医療機器としての機能を持つソフトウェアのこと。
VR/AR(ブイアール/エーアール) 「仮想現実/拡張現実」のこと。手術シミュレーションやリハビリテーションなどで活用されている。
ロボット手術 医師が遠隔操作やアシストロボットを用いて行う手術。
ゲノム医療 個人のゲノム情報(遺伝情報)に基づき、最適な診断・治療を行う医療。
3Dプリンティング 立体造形技術。インプラントや手術模型の作成に利用。
手術ナビゲーション 術中に患者の画像データと現在位置を重ね合わせ、正確な手術を支援する技術。
遠隔ICU 集中治療室(ICU)の患者を遠隔地から専門医が監視・支援する仕組み。
電子問診 受付や自宅でタブレットなどを用いて患者が入力する問診システム。
画像診断支援 AIが医用画像を解析し、診断候補や異常箇所を提示して医師を支援する。
服薬支援 患者の服薬忘れ防止や、薬剤師による適切な情報提供を支援する技術。
トレーサビリティ 医薬品や医療機器が、製造から使用まで追跡できる仕組み。
ウェアラブル心電計 日常生活で心電図を継続的に記録する装着型機器のこと。
AI問診 AIが患者の症状に応じて、適切な質問を自動生成するシステムのこと。
バイオマーカー 疾患の有無、症状の進行度など生体内で起こっている変化を客観的に測定できる指標のこと。
遺伝子パネル検査 がん組織や血液からDNAを抽出し、複数のがんを一度に調べる検査のこと。
遠隔リハビリ テレビ電話などを通じて、自宅や遠隔地にいる患者に対してリハビリ指導を行うこと。

「データ連携や共通化」に関する用語一覧

ここで記載している用語は、日々の診療で使うことは少ないと思いますが、医療システムや機器でデータを正確にやり取りする際に使う共通の技術仕様の用語です。

DX推進においてシステム選定や連携を行ううえで、使うことがある用語なので知識として覚えておくと良いでしょう。

用語 内容
電子カルテデータの標準化 異なる電子カルテ間でスムーズにデータを共有・交換できるよう、記載内容やコード体系を統一すること。
標準化 異なるシステム間でデータ交換や処理を可能にするための共通ルールを設定すること。
PMH(ピーエムエイチ) 「Past Medical History」の略。過去の病歴・手術歴などの情報を指し。電子カルテ情報共有サービスなどで共有される重要な情報の一つ。
コード(マスター) 病名、薬剤、検査項目などを識別するための統一された番号や記号のこと。
HL7(エイチエルセブン) 医療情報をシステム間で交換するための国際的な標準規格。
FHIR(ファイア) 「Fast Healthcare Interoperability Resources」の略。HL7の最新規格で、Web技術を活用し、より相互運用性を高める。
DICOM(ダイコム) 「Digital Imaging and Communications in Medicine」の略。医用画像データの形式と通信に関する標準規格。
SS-MIX(エスエスミックス) 厚生労働省が推進する標準化された電子カルテのデータを交換・共有するための規格。
ICD-10(アイシーディーテン) 国際疾病分類のICDの第10版のこと。疾病や死因を分類する世界共通のコード体系。
SNOMED CT(スノーメド シーティー) 医療用語を網羅した、より詳細な臨床用語集のこと。
LOINC(ロインク) 医療検査や診察など、臨床検査結果や観察項目を特定するための国際的なコードシステム。
MedDRA(メドラ) 医薬品の副作用など、医学的事象の規制当局への報告に使用される用語集。
データ連携 複数のシステムや組織間でデータをスムーズに共有・統合すること。
匿名加工情報 特定の個人を識別できないように個人情報を加工した医療情報のこと。
二次利用 診療以外の目的(研究、政策立案など)で医療情報を活用すること。
データガバナンス データの品質、セキュリティ、利用に関する方針やルールを管理する仕組み・ルールのこと。
データマイニング 患者のカルテ、健診データなどの大量データから有用なパターンや傾向などを抽出し、治療計画や新薬開発促進などに活用する技術のこと。
機械学習 (ML) 「Machine Learning」の略。データからパターンを学習し、予測や判断を行う技術のこと。
深層学習 (DL) 「Deep Learning」の略。多層構造のニューラルネットワークを用いた高度な機械学習のこと。
NLP(エヌエルピー) 「Natural Language Processing」の略。自然言語(人間の言葉)をコンピュータで処理する技術。
アノテーション データにタグ付けや注釈を付ける作業。AI学習に不可欠。
データサイエンティスト 統計学やIT技術を駆使して医療のビッグデータを分析し、新たな治療法や課題解決に貢献すること。

システムを支える「インフラ・セキュリティ」の用語一覧

電子カルテやレセコンなどのデジタルサービスは、システムやデータベース、セキュリティによって安全かつ効率的に稼働しています。

ここでは、インフラやセキュリティに関する用語を解説します。

用語 内容
SaaS(サース) 「Software as a Service」の略。ソフトウェアをクラウド経由で提供する仕組みのこと。
PaaS(パース) 「Platform as a Service」の略。アプリ開発・実行環境をクラウド経由で提供するサービスのこと。
IaaS(イアース) 「Infrastructure as a Service」の略。仮想サーバーなどのインフラをクラウド経由で提供するサービスのこと。
マルチクラウド 複数のクラウドサービスを組み合わせて利用すること。
ハイブリッドクラウド オンプレミス(院内)とクラウド両方の環境を組み合わせてシステム構築・運用すること。
エッジコンピューティング エッジ(端末)に近い場所でデータ処理を行う技術。
レイテンシ 信号の遅延時間。データが送信されてから届くまでの時間のこと。
VPN 「Virtual Private Network」の略。インターネット上に仮想的な専用回線を構築する技術。院外から院内システムに安全に接続が可能となります。
サーバーレス サーバー管理を意識せずにアプリケーションを実行できる環境。
DR(ディーアール) 「Disaster Recovery」の略。災害対策・復旧計画。
API連携 異なるシステム間の機能を連携させる技術。
データレイク 構造化・非構造化データをそのままの形で格納する貯蔵庫。
データウェアハウス(DWH) 整理・加工されたデータを格納し、分析に特化したデータベース。
仮想化 サーバーやネットワークなどのリソースを論理的に分割・統合する技術のこと。
ゼロトラスト 「何も信用しない」ことを前提に、すべてのアクセスを検証するセキュリティモデル。
MFA 「Multi-Factor Authentication」の略。複数の要素(パスワード、生体情報など)で認証を行うこと。
SSO 「Single Sign-On」の略。一度の認証で複数のシステムにログインできる仕組み。
GDPR 「General Data Protection Regulation」の略。EUにおける個人情報保護規則のこと。
暗号化 データを読み取れない形式に変換し、情報漏洩を防ぐ技術。
認証 アクセスしようとしているユーザーが本人であるかを確認するプロセス。
認可 認証されたユーザーに対して、システム内の特定のリソースへのアクセス権限を与えること。
フィッシング 偽のウェブサイトやメールでIDやパスワードなどの機密情報を騙し取る行為。
ランサムウェア コンピュータをロックしたりデータを暗号化したりして身代金を要求するマルウェア。
アクセスログ システムへのアクセス履歴を記録したデータ。

まとめ:用語を理解してクリニックのシステム化推進へ

医療DXの技術やセキュリティに関する応用用語を3つのジャンルにわけて解説しました。

用語の理解を深めることでクリニックのDX化推進を進める基盤となります。

用語の意味を理解しても「うちのクリニックに最適なシステムはどれか」「院内の課題にどう対応すべきか」「なにから始めれば良いかわからない」といった課題に悩む先生は多いと思います。

「目利き医ノ助」は、院内の課題をもとに中立な立場でクリニックにマッチしたシステムをご提案します。相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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