クリニック開業時の電子カルテ導入~検討開始のタイミングと導入までのプロセス~

クリニックの開業をお考えの先生方がいよいよその準備に走り出すとき、早い段階から「さて、電子カルテはどうしよう」とお思いになると思います。しかし諸々の準備が忙しく、気がつくと開業まで時間が残り少なくなり、あわただしく導入作業を進めることが少なくありません。そうなると十分な比較検討ができず、使い勝手や機能に不満が残ったまま電子カルテを使わざるを得なくなることがよくあります。診療の質を左右しかねない大事な電子カルテ、後悔しながら使うのは避けたいですね。

1.導入検討・選定の作業はとても大事

電子カルテはオンプレミス型、クラウド型の違いのほかに、機能性、操作性などの点においてもメーカーによって異なる点が多数あります。また、電子カルテは受付用のレセコンとともに使用しますが、レセコン一体型にするのか、両方を導入して連携させる方式のものにするかを検討する必要があります。さらに、診療科に特化した電子カルテもみられるようになり、診療科特有の帳票や検査項目に対応するなど専門性の追求が進んでいます。このように近年、電子カルテは多数のメーカーからさまざまなニーズに応じた製品が発売されるようになり、より便利に使用できるようになりましたが、同時に、導入時の選択にベストマッチする製品の見極めが必要になっています。

電子カルテは、クリニック運営の文字どおり「かなめ」となるシステムですので、情報を集めて比較検討をじっくり行い、自院に合うものを時間をかけて選びたいところです。電子カルテの検討から導入までに検討のプロセス・手順がありますが、大まかな流れとしては、要件整理製品の選定発注システム設定試験運用運用開始となります。本記事では主にオンプレミス型の電子カルテを念頭に、導入検討の手順をこの後ご紹介します。

2.電子カルテ導入の手順

製品選定

電子カルテを選ぶときに気をつけたいことは、たとえ診療科が同じであっても、クリニックによって必要な機能や条件が異なるということです。選定の際には,まず「機能」「連携」「サポート」の三点についてよく検討してください。この電子カルテを選定するポイントについては、目利き医ノ助が用意しているお役立ち資料「電子カルテ 選び方のポイント」に詳しく説明しています。ぜひご覧ください。

候補を絞り込み、販売会社に連絡する

インターネットの情報やお知り合いのクリニックの活用情報などをもとに有力な選定候補をいくつか絞り込みましたら、製品の販売会社へ連絡します。ここであまり製品を絞りすぎず、2~4社程度の中で比較検討したほうが良いでしょう。販売会社へ連絡し、製品について確認をするときは、製品選定で検討した「機能」「連携」「サポート」について、実際に実現可能かどうかをチェックします。その際にはどのような診療を行うために、◯✕のことを実現したい、と伝えるとよいでしょう。

デモを見る

メーカーが実機材を持ち込み、電子カルテの操作デモンストレーションを行います。目の前で電子カルテの操作感を確認できますので、最初の製品選定であげた「機能」「連携」「サポート」の三点について、それぞれ操作手順や操作感、連携の動作、サポートの連絡手順などをよく確認してください。

機能・見積の比較検討~契約

各社の機能・見積をもとに、製品を比較検討してください。導入したい製品が決まりましたら、その製品の販売会社またはメーカーと契約に進みます。契約時は契約期間や途中解約の条件を確認しておきましょう。

配置・配線のための図面打合せ

オンプレミス型の電子カルテでは、導入する電子カルテシステムに合わせて、機器設置のための寸法・配置、電源コンセントの位置や数量などの確認を行います。

インターネット回線の手配

クラウド型の電子カルテはもちろん、オンプレミス型の電子カルテであっても、レセプトのオンライン請求や、電子カルテのシステムアップデート用に、院内にインターネット回線が必要です。新規の回線敷設の場合、思いのほか時間がかかる場合があります。

接続機器との連携

電子カルテと各接続機器との連携設定が必要です。連携するデータの内容によっては、製品メーカー間の調整に時間がかかる場合もあります。

納品・操作説明/操作練習

オンプレミス型の電子カルテでは搬入設置が行われます。実際にシステムを使えるようになったタイミングで、通常、販売会社またはメーカーからクリニック側へ、電子カルテやレセコンの使い方のレクチャーがあります。メーカーによって、クリニックへの訪問ではなく、オンラインによる説明になることがあります。

テスト運用・模擬診療

開業の1~数週間前までには、実際の運用手順に従って電子カルテをテスト運用してみましょう。ドクターのほかスタッフ全員で参加し、運用上の問題点を洗い出して解決策を検討します。本稼働の初日である開業日までに、電子カルテの操作方法を習得しておく必要があります。ドクター自身だけでなく、スタッフも問題なく操作できるように、操作練習は時間に余裕を持って行うようにしましょう。

本稼働

開院日から数日、メーカーの担当者が立ち会う可能性があります。実際の稼働で操作方法を習得しながら、動作設定の見直しやマスタ追加などを行います。運用してみて発生した課題はメーカーにその都度相談し、フィードバックして解決していきます。電子カルテに慣れるまで操作に時間がかかることも考え、場合によっては紙カルテに記入できるようにするなど、非常時に一時的な紙カルテ使用ができるようにしておくドクターもおられます。本稼働後は、初回のレセプト提出が最初のヤマになりますので、気を抜かず業務に努めましょう。

3.選定開始から稼働まで見込むべき日数

導入から稼働開始までに必要な時間は、約半年から8か月程度と見込んでおくとよいでしょう。また、発注後納品までは3~4か月くらいとお考えください。どうでしょう?今まで思っていたより早い段階から電子カルテの導入作業を始めなければいけないとお感じになったのではないでしょうか?これまでにあげたプロセスを図にすると下記のようになります。

 

4.電子カルテの検討開始から導入までをワンストップでお手伝いする「目利き医ノ助」

電子カルテの選定には思いのほか時間もかかりますし、検討する要素が多数あります。開業の準備作業に手をとられ、選定にかける時間と手間を減らしたい、選定の失敗を減らしたい、というドクターのみなさま、クリニックのIT化コーディネーター「目利き医ノ助」は、電子カルテ選びをしっかりご支援します。まずは、「目利き医ノ助」のサービス内容をご理解いただくために、目利き医ノ助|目利き医ノ助とはをご覧ください!